天然繊維100%と合成繊維
2017/02/20
天然素材100%の靴下は...高級靴下!
近年、「ナチュラル志向」「健康志向」の流れで”天然素材100%”でできた衣類が見直されてきています。『見直されて』という表現を使ったのは...昔は皆天然繊維100%で作られた衣類を身に着けていたからです。
「え?私、綿100%って書いてある服持ってるけど?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
もう一度表示を確認してみてください。ひょっとして、「表糸 ●●100%」や「総合混率~」などの表記はないですか?
天然原料は製造が難しく、強度も不足するため、裏糸としてナイロン・ポリエステル・ポリウレタンなどの合成繊維が入れて作られます。なので、「表糸綿100%」や「表糸絹100%」の表現で、『総合混率70~85%』と表示されているわけです。
靴下製品でも、多くはナイロン・ポリエステルは裏糸として、強度を強くする原料として使われています。本来の天然繊維100%の靴下は市場に余り流通していないので、希少価値の高い商品となります。(ちなみに、靴下ではゴム糸は混率に含みません)
合成繊維が混ざっている商品が大多数の今日においては、天然繊維100%の靴下は高級靴下と言えるわけですね。昔は皆、誰もが高級靴下を履いていたんです!!
今回は天然繊維100%の靴下が、現代においては高級靴下になった歴史を覗いてみます。
戦後強くなったのは靴下と女性?
『戦後強くなったのは靴下と女性』・・・こんな言葉を見聞きしたことはないでしょうか?
この言葉は、戦後の日本が民主主義を導入して新しい憲法上で『男女同権』として女性の権利が強くなったことと、戦後の技術向上によって靴下やストッキングの耐久性が高くなったことを併せた表現です。
一説によると、1953年頃、当時朝日新聞の記者だった門田勲氏がある農協の職員が口にした言葉を紙上で取り上げ、流行語になったと言われています。
なぜこんな言葉が流行したのでしょう?
天然繊維100%の弱点
当時、靴下に限らず遷移の原料と言えば、綿・麻・絹・羊毛(一部の獣毛)でした。今でもこれらの素材は衣服などで原料として使われています。
しかし、歩くことで自分の体重の数倍の力で摩擦が加わり、常に遷移をたたかれている状態にさらされる靴下の場合、これらの天然原料だけで作られたものだと、強度が足らずにすぐに破れてしまっていたのです。
ナイロンの発明
そんな状況の中、1938年にアメリカの化学会社 デュポンの研究者 ウォーレス・ヒューム・カロザース氏によりナイロンが発明されました。
その時のナイロンのうたい文句は『見ずと空気と石炭から作られる、クモの糸より補足、鋼鉄より強く、絹よりも美しい繊維』。ナイロンは、絹に近いものを化学的に作り出し、大幅に強度をもたせたまさに夢の繊維だったようです。
1940年にナイロン製のストッキングが発売され、瞬く間に働く女性たちの間に広まっていったそうです。それだけ、ストッキングの強度不足に少なからず不満を持っていた世の女性たちが多かったということですね。「5月15日」がナイロン製ストッキングの発売日にちなんで「ストッキングの日」とされたことからも、いかにインパクトのある出来事であったかを伺い知ることができます。
その後も、ポリエステルやポリウレタンなどの合成繊維が誕生し、限りある原料である天然繊維に比べ、合成繊維は機械で大量生産が可能のため単価も安くなり、強度が強くて耐久性も高くなることから瞬く間に生糸・絹織物にとって代わる存在になっていきました。
『戦後強くなったのは靴下と女性』という言葉が流行した当時も、景気がよかった背景を受けてナイロン製のストッキングが地方の農村まで流行しました。合成繊維で作られた靴下が「強さ」の象徴として広く世間に受け入れられたのでしょうね。
天然繊維100%だからこそ
ここまでお読みいただくと、「合成繊維のおかげで靴下も丈夫になったわけだし、じゃあ、なんで今更天然繊維100%を求める人が増えてるの?」という疑問が浮かぶかもしれません。
確かに、強度の面では合成繊維が天然繊維の弱点を克服したかもしれません。しかし、合成繊維は石油などを原料に、あくまで『天然繊維をマネて人工的に生み出したもの』。やはり天然にはかなわない要素も多分にあるからです。
肌ざわり
代表的な要素は肌ざわりでしょう。例えば、絹やウールなどは同じ生き物から採取しています。繊維がヒトの肌に近い成分で構成されているため、ヒトの肌に馴染みやすくそれが肌ざわりの良さや心地よさを生みます。
機能性
例えばウール。”生きている繊維”とも言われるウールは調湿性に優れており、その吸湿力は、よくウールの代用品として使われる合成繊維のポリエステルの実に40倍とも言われています。不快感につながる余分な汗や湿気をぐんぐん吸い取ってくれるので、長い時間身に着けていてもさらりとした肌ざわりが持続するんですね。
合成繊維と天然繊維、どちらにも一長一短あり、一概にどちらが良いという答えはないと思います。だからこそ、今でも合成繊維と天然繊維をうまく組み合わせて(前述の「混率」)それぞれの長所を生かし、短所を補完しあっているんですね。
それがこれまでの主流だったわけですから、なかなか「本来の天然繊維100%」の靴下を履いたことがある方は少ないのではないでしょうか?
昔は当たり前だった天然繊維100%の靴下。一度履いてみると、これまで履いていた合成繊維の入った靴下とはまた一味違った履き心地をきっと体感できますよ。
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