和菓子の原料が繊維になった!?葛和紙繊維が生んだ夏を涼しくさせる靴下とは
夏の暑さをひととき忘れさせてくれる和菓子と言えば、涼やかな葛(くず)のお菓子。葛で餡を包んだ葛まんじゅうはもちろんのこと、葛餅、葛切、葛焼は、味わう人に涼を感じさせてくれる夏に欠かせない和菓子です。
和菓子の話が靴下とどう関係があるの!? そう疑問に感じる人もいるかもしれませんね。想像がつきにくいかもしれませんが、葛の製造過程で出るあるモノが、心地良い「シャリ感」を持つ靴下と深い関係があるのです。
今回は、和菓子の原料が繊維になった、夏にピッタリな靴下のお話をお届けします。
風雅な味わいを楽しめる葛餅や葛切に使用される葛粉とは?
家庭でも簡単に作れる葛菓子と言えば、葛餅と葛切。葛餅は関東、葛切は関西が有名です。
他にも、鉄板で焼いて作る葛焼もあります。
和菓子の歴史に葛が登場するのは、鎌倉・室町時代と言われています。当時、中国に留学した禅僧が、食事と食事の間の小食である点心を日本に伝えた際、その材料のひとつとして葛が使われ、葛まんじゅうや葛切の原形が作られたそうです。そして、これらの和菓子の素材として使用されているのが葛粉です。
良質な葛粉として有名な奈良県吉野地方の「吉野の葛」
葛はマメ科の植物。葛の根にためられたデンプンを主原料として葛粉がつくられています。さまざまな種類のデンプンのうちでも、最も良質とされています。優れた葛粉は弾力があって口当たりがなめらか。また、その仕上がりが透明なのも特徴のひとつです。品質やツヤ、風昧ともに奈良県の吉野の葛が有名で、特産品にもなっています。
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葛粉は生産量が限られているため高価です。そのため、市販されている葛餅や鍋物用の乾物の葛切などは、さつまいもやじゃがいも、小麦粉などのデンプンを使っているものもあるようです。ただし、吉野の葛においては、混じりけのない純粋なものを「本葛」と表示し、他のデンプンの葛粉と区別しています。
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大量に破棄されていた葛根から出る搾りかす
ここまで読んでいただいても、靴下との関係が見えてこない……。そう感じる人もいるはず。しかし、ここからがポイントです!
吉野の葛を製造する過程では、葛根から搾りかす(繊維)が出てきますが、通常それらは大量に破棄されていました。この搾りかすを靴下に活かせないかと考えたのが、「究極のエコ繊維+高機能繊維」を素材とした靴下の誕生につながるのです。
葛根の搾りかすをどのように利用したのかと言いますと、和紙を漉く際に搾りかすを練り込むことで紙繊維に仕上げられないかと考えたのです。
天然素材“和紙繊維”と葛根の搾りかすで作る紙繊維
和紙は薄くてもとても丈夫です。しかも柔らかく、その独特な風合いは日本でも長く親しまれてきました。また、間伐材を原料とする和紙を用いた和紙繊維は“エコ繊維”とも言われています。
和紙は木の皮など植物が主原料。そのため、和紙繊維は綿・麻・絹・ウールなどと同じように天然素材なのです。人工的に生産される繊維では再現できない「肌ざわりの良さ」を持っています。それだけでなく「吸水性」「調湿性」、和紙が持つ「消臭効果」「耐久性」など、たくさんのすぐれた特徴を持っています。
もちろん、和紙をそのまま成形して靴下をつくるわけではなく、高い技術で和紙を繊維状(和紙繊維)に加工し素材として使用します。さらに、和紙を漉く際に葛根の搾りかすを20μのパウダーにして練り込むことで、紙繊維に仕上げることに成功したのです。
廃棄される葛根を使っているため、原料コストは抑えられて経済的ですし、再利用することでエコにつながります。まさに「究極のエコ繊維+高機能繊維」ができあがったのです。
奈良の葛繊維でつくった上質な靴下『葛更紗』
日本一の奈良でのモノづくりには、「原料も奈良県製の原料を使いたい」。そんな思いから、エコノレッグでは葛からできた和紙とオーガニックコットンを撚ることでより肌に優しい高機能繊維を開発しました。
吸湿性に優れており、湿気も逃がしてくれるので肌のべとつきが軽減され、高温多湿な日本の夏にぴったりな靴下。それだけでなく、和紙特有の「シャリ感」や「さらっと感」は、他の素材を用いた靴下にはない独特な履き心地をもたらしてくれます。
奈良産にこだわり、素材にこだわり、機能にこだわった靴下、その名は『葛更紗(くずさらさ)』。
更紗はインドが起源の木綿の文様染で収納されたシルクロードの産物で、万葉シルクロードの終着点である奈良にふさわしいネーミング。ブランド名の葛は、万葉の時代から奈良県の伝統的産物です。
優しく柔らかい心地よさが感じさせる「シャリ感」。高い吸水速乾性によって、さらさらしているのに柔らかい触り心地。ぜひ、『葛更紗』で「極のエコ・高機能繊維「葛和紙繊維」の快適さを体感してみてください。